「ん〜?何か楽譜にゴミが…カリカリ」
「あ、それは、スタッカートっていう記号だよ」
というわけで、今回はアーティキュレーション編です。
スタッカートとかテヌートとか、ああいうのをアーティキュレーション記号といいまして、
ドレミファソー♪
を
ドッレッミッファッソー♪
にしたり
ドーレーミーファーソォー♪
にしたりするような記号です。
物理的には音符と音符の間をどれくらい離すかということになりますが、付ける側からするとニュアンス的な部分が大きいように感じます。
音価をどうこうする記号ではない
とりあえず、スタッカートを正確に音価の半分で演奏するのはやめてください。
たとえそれが著名な演奏家だとしても「音価の半分で〜」は聞かなくてOKです。
「ゆっくりなテンポで、しっかり半分で練習するんだよ」
ドー、ウン、レー、ウン、ミー、ウン…
「OK!じゃインテンポでやってみるよ!」
ドッッレッッミッッファッッソー♪
(…いやいや、今の半分じゃなかったでしょ)
っていう、そもそも本人がそう演奏していないというレッスンあるあるに覚えのある方も多いのでは?
アーティキュレーション記号は、音価をどうこうというよりは表現のニュアンスを指定する記号として使用した方がわかりやすいと思いますが、現実的には作曲家や楽器によって用法が変わってしまう状態になっています。
ゆっくり練習する時も同じ感じで
軽い感じで〜とか、跳ねる感じで〜とかでスタッカートをつけたとします。
そしたらゆっくり弾く時もそんな感じで練習した方がいいでしょう。
ゆっくり踊ったからといってジャンプの対空時間が伸びないのと一緒です。
(空中で解説や回想が入ってくると2〜3週間かかるかもしれませんが…)
切るかつなげるかだけではない
アーティキュレーションは基本的には切るかつなげるかですが、先ほどの「軽く〜」みたいに音色やアクセントなどの強弱にかかわるニュアンスを含むことがあります。
ただし、これも作曲家や曲、ジャンルなどによっても変わってきますので、その記号がどういった目的でつけられているのかということは読み解く必要があるでしょう。
単純に音楽辞典を参照するだけでは分からないのでちょっとめんどくさいですが、推理ゲームみたいな面白さもあるかもしれませんね。
名探偵がラストで犯人を間違っては大変ですが、音楽は作曲家の意図とは違っていてもいいと思いますよ。
特にクラシックは状況証拠しか残されていませんので、「そうだと言い張る」という奥義が可能なジャンルです。
ノンレガート
ついでに、よく議論になるノンレガートについてもチラッと触れたいと思います。
まあ、レガートじゃない感じでやってね、ということですが、
そもそもクラシックはレガートが前提でノンレガートがあるわけなので、もともとノンレガートな人や楽器はそのままでOKです。
ノンレガートだから〜といってはりきって音を離すと切りすぎちゃったりしますので気をつけましょう。
ギターなんかは元々レガートが苦手な楽器なので、人によってはノンレガートは普通に弾いてレガートがんばる、くらいでちょうど良かったりもします。
同様に、バッハがノンレガートなのも楽器によりけりと言えるでしょう。
音楽自体がノンレガートなのか、奏法的にノンレガートなのか、というところは考えた方がいいかもしれませんね。
と、このように、同じアーティキュレーション記号でも、様々な可能性があるんですね〜
ですので、「記号の意味がこうだからこう弾くのだ!」ではなく、
なんでこの記号が付いているのかな?
どういう感じにしたくてつけたのかな?
と、チラッと考えてみるといいかもしれませんね。